日本の高度成長を作ってきた方々は私たちの先輩です。
高齢者施設にいながら、地域の書道ボランティア活動をされ「自分の最期は自分で決めている」方がいました。
その方は奥様をがんで亡くされ、その際に看取り、その奥様は痛みながら他界されたとおっしゃっていました。
その方は、長くその高齢者施設の植木やプランターなどに夏の暑い中でも水やりや雑草取りなどをしてくれていました。
「自然」というものを大事にされており、現役のころは大手商社に勤めており、鉄鋼関係の仕事をしていました。
すでに子供たちに迷惑をかけたくないと、生前整理をされており、自宅や株式、財産などもすでに自身がしっかりしている時にまとめていました。
非常に優しい方で、施設と入居者でトラブルがあるとよく穏やかに、入居者側の意見を仲介してくださいました。
「話があるから来てくれ」とおっしゃられて、これまでほぼ何も介護サービスは使っていなかった方が、「膀胱がんがある。長年抑えてきたが、いよいよ尿が出なくなってきた。手術はしない。妻をがんで亡くして、最後にかわいそうなことをした。自分はそうはしないと決めている。」との話がありました。
癌の手術はしなくとも導尿などの対応を病院で何度かしましたが、それでも排尿は続かず、元のところで尿が止まっているようでした。
それから本人は、娘様たち家族を呼び、痛みを抑えながら、最低限の食事や水分しか取れない状態になりました。
私には、あえて自分から絶食絶水を始めているようにも見えましたが、その後、苦しまず、ご家族に見守られながら旅立っていきました。
思い出すとその方は、いつも笑顔でした。
今では間違いなく、天国で奥様と会っているに違いないと思います。
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